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初恋の来た道 2024
桜十座には昭和造りの古いアパートが数棟建っていた頃のことです。
夫の病院から桜橋を渡った角に桜十座の老木の桜並木がありました。
少し南に走ると倉安川。約1kmの桜道の桜は見事です。
発病して長い病院生活を余儀なくされ、肺の摘出手術後、
3ヵ月目にして、やっと一時帰宅となりました。
まだ自家用車がない頃でタクシーで家路に向かったのですが、
桜の花が散り青葉になった倉安川の道を走ってもらいました。
食い入るように眺める夫の表情が今も脳裏に焼き付いています。
桜の頃は見事だろうな・・・、夫がポツンと呟きました。
彼の発した言葉が”初恋の来た道”となり、毎年2人で通ったものです。
歩行が厳しくなった頃は助手席から風景を無言で眺めておりました。
福留女史が来岡くれて、旭川の土手で一緒に蕨採りをした事がとても
嬉しかったのでしょう。痩せてしまった夫の笑顔が生き生きとしています。